「支援」は、〈そもそも〉〈最初から〉〈常に〉ズレている!

ズレてる支援!

知的障害/自閉の人たちの自立生活と重度訪問介護の対象拡大

寺本晃久・岡部耕典・末永弘・岩橋誠治【著】

[定価]   本体2,300円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-045-0
[判型]四六判並製
[頁数]376頁

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『良い支援?』刊行から7年。使わせてと訴えた「重度訪問介護」の対象拡大が実現する中、
あらためて問われているものとは何か!
支援を使って、地域で自立した暮らしをしている人がいること。
集団生活ではなく一対一の支援をモデルにすること……
「支援」と「当事者」との間の圧倒的なズレに悩み惑いつつ、
そのズレが照らし出す世界を必死に捉えようとする「身も蓋もない」支援の営みの今とこれから!

【目次】


まえがき ─── 寺本晃久

第一部 ズレてる支援

第1章 生活・支援の実際 ─── 寺本晃久
 1 地域で暮らし続ける
 2 自立生活とその支援
 3 介助者

第2章 何を基準にして支援するか ─── 寺本晃久
 1 それぞれで考えるしかない、のだが……
 2 たとえば、何にどの程度お金を使っていくかの判断
 3 非対称性
 4 介助者が誰かによって、その都度の対応やどう動くかが変わる

第3章  亮佑の自立と自律 ─── 岡部耕典
 1 前夜/3.11
 2 自立生活の開始
 3 支給決定
 4 重度訪問介護の対象拡大
 5 住むところ
 6 通うところ
 7 住まいと生活の費用
 8 介護のこと
 9 お金を使うこと
 10 連絡と調整
 11 これからと「親亡きあと」
 12 これから自立する人たちのために
 13 なぜ「重度訪問介護の対象拡大」だったのか

第4章  ズレてる支援/おりあう支援 ─── 岩橋誠治
 1 そもそも世界がズレている
 2 「問題」はズレから生じていると想い描いてみる
 3 「そもそも世界がズレている」事を前提にする
 4 おりあう支援──ズレているならおりあうことを
 5 おりあいを引き継ぐ
 6 ズレてる世界に気づかないままに
 7 最後に──「支援がズレる」のではなく、「そもそもズレている」

第5章  支援は常にズレている ─── 末永 弘
 1 当事者が必要としている事に対して支援はそもそもズレている
 2 制度や事業所と個人的な関係性は両立し得るのか?
 3 介護者が自分の固有名を取り戻すために
 4 追い詰める支援?
 5 支援者同士のズレ
 6 グループホームをどう考えるか
 7 親と支援者の間のズレ

第二部  重度訪問介護の対象拡大と生活の実際

第6章  重度訪問介護という枠組み ─── 寺本晃久
 1 重度訪問介護が使える
 2 対象者
 3 利用の手続き
 4 介助者の研修
 5 重度訪問介護を使っていくかどうか

第7章  東京の北多摩地域の事例から ─── 末永 弘
 1 重度訪問介護とはどのような制度なのか
 2 重度訪問介護の対象拡大によって自立生活が明確な選択肢の一つになった
 3 重度訪問介護の利用状況について
 4 自閉症の人にとって、一人暮らしが一番合った環境になる場合がある

第8章  「重度訪問介護の対象拡大」の経緯とこれからのために ─── 岡部耕典
 1 はじめに
 2 総合福祉部会の議論と「パーソナルアシスタンス制度」
 3 「重度訪問介護の対象拡大」をめぐる厚生労働省の対応
 4 これからのために

第三部 次につなげる

第9章  重度訪問介護の対象拡大を重度知的当事者の自立生活支援につなげるために ─── 岩橋誠治
 1 「等」の一文字を引き継ぐ
 2 知的当事者の自立生活の前提となる環境や関係性について
 3 本人にとっての重度訪問介護
 4 移行に際して常に考えてきたこと
 5 重度訪問介護利用の枠組みづくり
 6 重度訪問介護に寄せる期待
 7 最後に

第10章  パーソナルアシスタンスという〈良い支援〉 ─── 岡部耕典
 1 知的障害/自閉の人たちとパーソナルアシスタンス
 2 行動援護のゲートキーパー化と生活支援の療育化/地域の施設化
 3 常時介護を受ける知的障害/自閉の人たちの生活と支援の実際
 4 ヘルパー・コーディネーターの役割と「意思決定の支援」
 5 支援の専門性と報酬について

第11章  将来の支援の担い手について ─── 末永 弘
 1 障害者が地域で自立した生活を続けるために必要な支援を将来誰が担っていくのか
 2 障害者の介護という仕事を続けていく理由について
 3 介護者不足はなぜ進んでいくのか?
 4 労働条件について
 5 介護者の技能とは何か? 利用者と介護者が一緒に居る時間をどう捉えるか
 6 利用者から人気のない介護者はどうやって生きていくか
 7 グレーな事柄に耐える──非営利組織であることの意味

あとがき ─── 寺本晃久