2000人の足湯ボランティアが聴き取った16,000の「つぶやき」
震災被災者と足湯ボランティア
「つぶやき」から自立へと向かうケアの試み
「つぶやき」を聴き、それを被災者の「声」として受けとめ、
そこからの支援のつながりとひろがりを模索するケア活動としての足湯ボランティア。
被災者の苦しみの傍に立って、毀損した心と主体の尊厳を回復する支援のありかたを構想しようとする、
足湯ボランティア、災害支援団体、ケア職能者、社会学研究者による協働の記録。
【目次】
はじめに 似田貝香門
第Ⅰ部 足湯ボランティア活動とその足跡
第1章 足湯ボランティア 吉椿雅道
足湯ボランティアとは/足湯ボランティアの作法/足湯ボランティア自身のケア 他
[コラム] 大学の足湯ボランティア活動
1 全国足湯ボランティア交流会 頼政良太
2 第二回全国足湯ボランティア交流会──つながる・つなげる(北陸 学院大学) 田中純一
3 転換点としての足湯活動(神戸大学) 林大造
4 足湯でつながるということ(大阪大学) 宮本匠
5 七ヶ浜町における大学生の取り組み(東北学院大学) 長島心一・若生有吾・泉正樹
6 理系学生の足湯ボランティア奮闘記(長岡技術科学大学) 武澤潤
7 福島の現状に応じた足湯活動の展開と必要性(福島大学) 北村育美
9 足湯で生まれた継続性(岩手大学) 楡井将真
第2章 つぶやきの足跡 村井雅清
つぶやきの誕生/つぶやき→声のカード→復興計画へ/つぶやきが『市民がつくる復興計画』に取り込まれる 他
[コラム] 地域社会活動
1 人間関係の地域つくり(金沢市元菊町) 吉田正俊
2 足湯ボランティアと福祉教育(大分県国東市) 藤原龍司
第3章 足湯ボランティアの足跡 吉椿雅道
足湯ボランティアのはじまり/阪神と中越から能登へ/東日本大震災 他
[コラム] 日本財団ROAD+震災がつなぐ全国ネットワーク足湯隊の継続隊
1 「また来てね」「はい、また来ますよ」と言える支援活動 久保田正雪
2 東京足湯プロジェクト──広域避難者支援への取り組み 金子和巨
第4章 震災がつなぐ全国ネットワーク×日本財団ROADプロジェクト足湯ボランティア活動の記録
──2000人の足湯ボランティアが聴いた16,000のこころの声 松山文紀・頼政良太
なぜ足湯ボランティアだったのか?/つぶやきの分析の経緯/週刊つぶやきの発行 他
第Ⅱ部 被災者の「つぶやき」分析
第1章 つぶやきの分類とその特徴 清水亮
つぶやき分析の経緯とデータの特異性/足湯のガイドブック作り/つぶやきを分析することの意味 他
第2章 いっとき傍らに立つ──つぶやきから見る被災者の苦闘と足湯ボランティアの意義 三井さよ
「被災者」の前に固有の人として/周囲との関係の激変/関係の再編に向けて 他
第3章 「身体の声」を聴く──足湯での被災者の「つぶやき」分析から 似田貝香門
実践としての「つぶやき」の分析をめざして/「つぶやき」とは何か/身体への「声を聴く」
──感性の回復から「共感」へ 他
[コラム] 被災者の声とは
1 災害看護の立場から 黒田裕子
2 つぶやきは「声」になりたがっている 関礼子
3 石が叫ぶ 川上直哉
4 被災者の声に耳を傾ける──宗教者(僧侶)の立場から 伏見英俊
5 被災者の「声」を本当に理解するために 川上憲人
6 語らせることについて 加藤寛
7 佐用町の経験を災害人類学の立場から 浅野壽夫
第Ⅲ部 足湯活動の到達点
第1章 ケア活動のひろがりと実践理論としての足湯活動 似田貝香門
足湯ボランティアとケア活動の新しい広がり/実践理論としての足湯ボランティア──自律への足がかり 他
第2章 災害時の被災者のケアとしての足湯ボランティア 村井雅清
阪神・淡路大震災20年を振り返って/ボランティアが残した財産は「多様性」/
アルコール依存をやめさせたボランティア/まけないぞう 他
[コラム] 足湯ボランティアへの期待
1 仏教からみた足湯傾聴ボランティア 辻雅榮
2 戸惑いながら向き合う 渥美公秀
3 災害後の人々の健康支援に向けた活動と連携/協同の必要性 山本あい子
資料編 足湯ボランティア活動の団体の系譜と広がり 松山文紀・頼政良太
おわりに 村井雅清