【目次】
はしがき
I 地 平
プロローグ
第1章 調査経験を通して生きられる〈差別の日常〉
──あるライフストーリー・ インタビューの再解釈
1 リアリズムの〈声〉にかこまれて
2 リアリズム的主題への非リアリズム的アプローチ
3 名前・名のりに焦点を当てた〈差別の日常〉の解読
4 「外登証」に哄笑する場面によせて
5 「しろうと」の効用
第2章 ライフストーリー的想像力の射程と限界
──高史明『生きることの意味青春篇』を手がかりに
1 はじめに
2 挿話(一)
3 挿話(二)──ライフストーリー・インタビューの経験の中から
4 顔を見ては話せないこと=『生きることの意味・青春篇』の世界(一)
──身体の架橋性と分断性に注目して
5 顔を見ては話せないこと=『生きることの意味・青春篇』の世界(二)
──他者の書き言葉の「貼り付け」という所作について
6 おわりに──再び、ライフストーリー的想像力の射程
第3章 教室における日常性批判の(不)可能性
──二部学生による「在日」経験レポートを手がかりに
1 本章のはじめに
2 授業風景・レポート課題
3 全体的傾向
4 日常性の反復@
5 日常性の反復A
6 日常性批判の可能性
7 おわりに
II 奈 落
プロローグ
第4章 在日外国籍児童在籍校でのフィールドワーク経験の再解釈
──「語りえぬもの」の探索という観点から
1 序論
2 本研究の方法論の吟味──〈ナラティヴ=言語使用〉への焦点化の意義
3 調査者はいかにして参与者となるか──「本調査前史」のナラティヴ解釈
4 本調査期間中における「成員性の揺らぎ」経験と語りの発生との関連
5 「クレーム→語り」シークエンスの実際(I)
──研推での中国籍大辻君についての報告が作りだした〈状況〉
6 「クレーム→語り」シークエンスの実際(II)
──クラスにおける「対話の欠如」と授業中のボリビア籍児童をめぐる問題
7 「クレーム→語り」シークエンスの実際(III)
──本調査に対する最後通牒の場面から
8 暫定的結論
第5章 現場で「最終報告」したこと
──5年B組の子どもたちのクラスルーム・ライフ
本章のはじめに
1 まえがき
2 同じ色に染まる子どもたち──〈ファッション、遊び〉といったサブカルチャーから
3 〈休み時間〉という恐怖──私自身の原風景の再現
4 悲しき〈パロディーの天才〉──もう一つの居場所を見つけるための長い戦い
5 帰国してしまった〈彼女〉のこと──教室にとって彼女は何だったのか?
6 忌まわしい記憶──〈タッチゲーム〉はいったい何だったのか?
補遺 語っておかねばならないこと
1 ついに分からなかった「コミュニティ」のありか
2 アンビバレントだった学校調査での私の振る舞い
3 「ビデオ撮影」がもたらした決定的なこわばり
4 日常に抗する〈物語〉
III 匍匐前進
プロローグ
第6章 浮き立たせ、構成する〈力〉
──ある在日朝鮮人教育実践記録=物語の解読
1 問題の設定
2 実践記録の分析のための方法態度について
3 安定した物語世界の構築──教育実践記録の分析(I)
4 言語ゲームへの自閉に抗う語り──教育実践記録の分析(II)
5 結論──「語り直し」の二面性
第7章 日常に抗する生の語り=ライフストーリー
──知の生産活動〈場〉へのコントロールの視点から
1 本章の問題設定
2 聞き書きの意味づけ論における「抑圧の仮説」
3 聞き書き場面における権力作用に向けて──「あいだ」をめぐる分析
4 聞き書きにおける「余白」部分の発見
5 むすび
第8章 聞き合われ、語り合われる在日=物語
──「反ロマンティシズム」的物語論の立場からの一考察
1 「在日の生活史」という問題構成をめぐって
2 反─ロマンティシズム的〈物語〉分析のための基本視角
3 事例分析──「自伝の語り」のコンテクストの発見
4 〈物語〉分析から得られたこと──発話構成原理としての「互恵の倫理」とその意義
第9章 マイノリティにおけるセルフヘルプグループ的運動の可能性
──グループありらん(仮)の事例にみる「語りのコミュニティ」の生成
1 はじめに──問題の設定
2 セルフヘルプ的運動としてのグループありらん──その対外的自己表象から
3 解釈枠組──セルフヘルプ運動への社会学的=再帰的視座
4 アイデンティティ・ ポリティクスの中のセルフヘルプ運動──「後期近代社会」の位相で
5 グループありらんにおける「新しさ」の諸局面──社会運動論的考察
6 おわりに──グループありらんの現在
IV 展 望
プロローグ
第10章 内側から切り裂く
──「在日」における名前・名のり問題再考
1 はじめに
2 名前言説の「力強さ」
3 「不可視のマイノリティ」という見方の陥穽
4 教育言説というドメインの膨張
5 [通名使用=パッシング(ゴッフマン)]という理解について
6 おわりに
第11章 宙をさまよう第一声
──ライフヒストリー実践の『対話』性を問うために
1 「お小さい頃の……」
2 ライフヒストリー実践における反─対話性──全体化への欲望の帰結
3 対話性への道
結論にかえて──差別・日常・解読
1 〈日常〉から半歩はなれて立つということ
2 差別というテーマの破壊力
3 「半歩」の効用
4 差別はどこにあるのか?
5 生き方としての社会学・フィールドワーク