国立療養所は、結核による入所者が減少するなか、
何を担わされようとし、また担ったか。

国立結核療養所

その誕生から一九七〇年代まで

酒井美和【著】

[定価]   本体3,000円(税別) 

[ISBN]978-4-86500-151-8
[判型]A5判並製
[頁数]240頁

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結核病床はどのような政策や社会的要請によって異なる病床へと転換されたのか?戦後の国立結核療養所の病床転換についてその歴史的変遷を詳細に追い、病床政策とその背景にある社会状況がどう関連していたかについて明らかにする労作。

【目次】


第1章 本書の概要
 1 本書の背景と目的
 2 研究方法
  (1)第2章で利用する文献
  (2)第3章から第6章で利用する文献
  (3)第7章で利用する文献など
 3 本書の意義と先行研究
  (1)本書の意義
  (2)先行研究
 4 本書の構成

第2章 公私病床について──一九四五年から一九七九年
 1 第2章の背景と目的
 2 戦後から一九七〇年代における病床推移の概要
 3 戦後の一九四〇年代における病床
  (1)本節の流れ
  (2)傷痍軍人施設などの移管
  (3)医療法制定まで
  (4)国公立病床の増床鈍化
  (5)国公立病院の特別会計化
 4 一九五〇年代──国公立病床の減少
  (1)本節の流れ
  (2)国公立病床の割合の減少と私立病床の増加
  (3)結核病床の推移
  (4)国公立に対する僻地の病床設置への期待
 5 一九六〇年代──国公立病床の役割の模索
 6 一九七〇年代──国公立病床の役割の拡充
  (1)本節の流れ
  (2)国公立病床に対する規制緩和の動き
  (3)国公立病床が担う役割の拡充

第3章 国立療養所の設立――一九四〇年代
 1 国立療養所の設立
  (1)国立施設としての国立療養所
  (2)設立時の施設数
  (3)陸海軍病院および軍事保護院の返還
  (4)厚生省への移管
 2 日本医療団の施設が国立療養所へ
  (1)日本医療団とは
  (2)日本医療団の設立と解散、国立療養所への編入
 3 病床について
  (1)国立療養所の病床数
  (2)病床数の集計について
  (3)病床数の増加
 4 入所者について
 5 入所費について
  (1)元傷痍軍人の入所費の有料化
  (2)入所費負担の状況

第4章 結核病床の空床――一九五〇年代
 1 施設数の変化
 2 病床について
  (1)結核対策と病床数
  (2)空床について
 3 入所者について
  (1)入退院基準と付添婦
  (2)カリエス児童の入所
 4 入所費について

第5章 重心・筋ジス病床の設置――一九六〇年代
 1 施設数の減少
 2 病床について
  (1)病床再編成のながれへ
  (2)重症心身障害病床と筋ジストロフィー病床の設置
 3 入所者について
  (1)非結核患者
  (2)医療職
 4 入所費について
  (1)費目別収納済歳入額
  (2)特別会計化

第6章 難病病床の設置――一九七〇年代
 1 結核療養所数の減少と精神療養所数の増加
 2 病床について
 3 入所者について
 4 入所費について

第7章 難病と病床
 1 本章の目的
 2 テキスト分析の結果
  (1)難病の出現回数
  (2)難病が含まれる発言に出現する病
  (3)誰が発言したのか
  (4)どのような文脈で発言がなされたのか
 3 考察
  (1)難病とはどのような病なのか
  (2)誰によって、どのような文脈で発言されたのか
  (3)後期の議員発言
  (4)後期の政府発言
  (5)難病と国立・公的機関
 4 結論
  (1)難病とはどのような病なのか
  (2)発言者
  (3)どのような文脈で発言されたのか
  (4)「難病」と国公立病床、とくに国立療養所との関わり

終 章
 1 「第2章 公私病床について──一九四五年から一九七九年」で新たに示したこと
 2 「第3章 国立療養所の創設
    ──一九四〇年代」から「第6章 難病病床の設置──一九七〇年代」で新たに示したこと
 3 「第7章 難病と病床」で新たに示したこと
 4 総括
 5 本書の限界

堆積や交錯や忘却を描く――そのための仕事がなされた  立岩真也

あとがき
参考文献一覧